
- 2021.04.28
- 『図書館内乱』
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4月30日は図書館記念日だそうです。本日のにこ~るブログは、図書館と聴覚障がい者がお話の中に出てくる本をご紹介いたします。有川ひろ作『図書館戦争』シリーズの第二巻、『図書館内乱』(KADOKAWA/角川書店)です。
【『図書館戦争』とは?】
―あらすじ―
「メディア良化法」という架空の法律が存在する日本が舞台のお話。その法律によって少しでも書籍の表現に問題があればその書籍を「有害図書」扱いし、「メディア良化委員会」という組織によって処分されてしまう。逆らえば彼らは武力行使で処分を決行していく。言論弾圧に近い、行き過ぎる規制に対し、図書館が本を守るために武装して動いている世界。
『図書館戦争』シリーズは、そこで働く主人公「笠原郁(かさはら いく)」の成長と恋の物語。
有川氏の代表作とも言える『図書館戦争』シリーズ。本作は、アニメ化、実写映画化、漫画化と様々なメディア作品が作られているので、この作品に触れたことがある方も多いのではないでしょうか。
【『図書館内乱』内エピソード「恋の障害」(タイトル原文ママ)あらすじ】
郁と同じ職場の先輩である小牧幹久(こまき みきひさ)にまつわるエピソード。彼の幼馴染で10歳年下の妹のような存在の少女、中澤毬江(なかざわ まりえ)。彼女は中学生の時に両耳の突発性難聴(※1)にかかってしまい、治療が遅れたことにより右耳は完全に聞こえなくなり、左耳は補聴器がないと聞こえない。
毬江は幼いころから高校生になった現在も幹久の事を慕い、幹久が図書館に勤めてからは彼に会うために図書館に通っている。
幹久は、沢山の本を読み、そして本が大好きな少女でもあった毬江に、ある一冊の本を薦めて貸し出す。その本には聴覚障がい者の登場人物がいて……
(※1)突発性難聴につきましてはこちらをご参照ください。
【原作小説『図書館内乱』について】
本エピソード中に登場している、幹久が毬江に薦める小説は、同じく有川氏作の小説である『レインツリーの国』です。こちらを合わせて読むと、より深くこのエピソードを読むことができます。
『図書館内乱』では上記エピソードの他、「図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)」に郁が就職することを反対していた彼女の両親が、図書館に見学に来るエピソードがあったり、図書館の内部派閥によるいざこざが起こったりと、ドキドキ・ワクワクする展開が多く、ページをめくる手が止まりません。
また原作の『図書館内乱』以降のシリーズには、毬江に関する話や聴覚障がいに関する話が少し出てきますので、『内乱』以降も気になった方は『図書館戦争』シリーズを、郁の成長や毬江達の恋の行方なども含めて、追ってみてくださいね。
【小説を読むのが苦手……という方へ!】
実写映画版の『図書館戦争』では本編のみですが、日本語字幕つきでご覧になることができます。(映画 図書館戦争 -DVD&VIDEO- : 角川映画)実写版『図書館戦争』の脚本は、ドラマ版『逃げるは恥だが役に立つ』や『アンナチュラル』の脚本を手掛けた野木亜紀子氏が担当されています。
毬江が活躍する話が見たい!という方はこちらのお話になります。彼女の役は土屋太鳳さんが演じられています。(ドラマ特別企画『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』|TBSテレビ))
また、漫画版もあり、弓きいろさんの描くキャラクターがとても可愛らしいです。「恋の障害」(タイトル原文ママ)のエピソードは5巻に収録されています。(『図書館戦争 LOVE&WAR』(白泉社 原作:有川ひろ、漫画:弓きいろ))
漫画版・実写映画版共に原作と演出等が微妙に異なるので、既に小説版を読まれている方も楽しむことができると思います。是非お手に取ってみてください。
参考資料
・日本図書館協会 図書館記念日について http://www.jla.or.jp/library/kinenbi/tabid/227/Default.aspx
・『図書館戦争』KADOKAWA総合サイト https://promo.kadokawa.co.jp/toshokan-sensou/
・「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年11月号 文学にみる障害者像 有川浩著『図書館内乱』(文:野田晃生)
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n364/n364020.html