- 2021.08.18
- 第11回手話寺子屋オンライン講演会
-
8月8日に行われた東京オリンピックの閉会式。Eテレにて弊社の寺澤がろう通訳として出演いたしました。SNS上では予想以上にたくさんの反応があり、ろう通訳が多くの人々の目に触れたことの表れだと感じました。ろう通訳がどのように行われているかを、以前当ブログで紹介しておりますので、お手すきの際にご覧いただけますと幸いです。
さて今回のにこ~るブログは、社会福祉法人ひょうご聴覚障害事業協会理事長の大矢暹(ススム)氏にご登壇いただき、『15周年を迎えた特別養護老人ホーム淡路ふくろうの郷』というテーマで講演会を開催いたしました。講演会では、淡路ふくろうの郷を設立した経緯やモットーについて、また、そこで暮らしているろう高齢者の方についてお話いただきました。
特別養護老人ホーム淡路ふくろうの郷は、兵庫県淡路島にある、ろう者・難聴者・盲ろう者の方への情報保障やコミュニケーション保障に特化した新型特別養護老人ホームです。(http://hyoufuku.main.jp/fukurou/)
1995年に発生した阪神淡路大震災の発生と、ろう高齢者が誰にも気づかれずに孤独死してしまったことがきっかけで、介護施設を作ろうと思われたそうです。
施設を作ろうと思い立ってから足掛け4年たった、平成18(2006)年に淡路ふくろうの郷が完成しました。
淡路ふくろうの郷には「暮らしの4本柱」と呼ばれるモットーがあります。それが、「まなぶ、はたらく、自治会活動、ゆったり寛ぐ」の4つになります。
「まなぶ」…「ふくろう大学」と呼ばれる学びの場が施設内にあり、手話を学んでコミュニケーションを身につけることを目標としています。(施設に入っているろう高齢者の内の約3分の2が義務教育を修了できず、そのため、手話が身についていないということでした。)手話の他にも「書道」や「演劇」等の講座もあるそうです。
「はたらく」…施設には「ふくろう工房」という作業スペースがあり、施設にいるろう高齢者の方々は、裁縫などの手芸品作成をされています。他にもご自身の人生を手話語りするというお仕事をされています。
「自治会活動(ホームページでは「遊ぶ」という部分)」…懇談会では施設で行なう行事や、生活に関すること等に関して意見交換します。活発に意見が飛び交うそうです。懇談会で決定した行事などで「遊ぶ」ことを生活の中に取り入れていきます。
「ゆったり寛ぐ」…自分の居場所を確保するため、1ユニット10室の個室(長期・短期で全70室)が、ふくろうの郷では用意されています。
大矢氏は、「ふくろうの郷は楽しく生活する場所です。喧嘩なく『楽しく生きたい』。楽しく過ごすには一人ではなく『友と生きたい』。『自由に生きたい』。そして長く戦争なく続いてきた社会を『平和に生きたい』。を目標とし、ふくろうの郷が20年、30年、40年と続く平和の砦でありたい。」とおっしゃっていました。
今回も、講演会に参加いただき、ありがとうございました。第12回の手話寺子屋オンライン講演会は、弊社の寺澤が講師として、登壇いたします。お楽しみに!