にこ~るブログ
2023.05.19
『わたしのいないテーブルで』

 2023年冬、『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』(文春文庫、著者 丸山正樹氏)がNHKにてテレビドラマ化されます。主演は草彅剛氏です。また、2024年には、韓国で映画化されることになりました。監督・脚本はムン・ジウォン氏です。ドラマの方は冬の放映が今から楽しみです。

 映画は2024年クランクインとのことです。是非日本でも上映されて欲しいです!

 

 さて、今回のにこ~るブログは、そんな『デフ・ヴォイス』シリーズの最新作である『わたしのいないテーブルで』(東京創元社)のご紹介をいたします。今回のメディアミックス化で初めて『デフ・ヴォイス』シリーズを知った方は、是非こちらの最新刊までお読みいただくことをお勧めいたします。

 

『わたしのいないテーブルで』あらすじ

コロナ禍の真っ只中。荒井は、刑事の妻みゆきに代わり「緊急事態宣言」で休校中の美和と休園中の瞳美の二人の娘の面倒を見るため、手話通訳の依頼を中々受けられない状態だった。そんな中、ろう者が聴者の実母を包丁で刺してしまうという事件が発生。勾留されているろう者の支援をしているNPOの知人から、荒井に手話通訳の依頼が来て……。一体何故、事件は起きてしまったのだろうか……?

 

 コロナ禍中(2020年ごろ)で起こったろう者達の苦悩の他、口話法(※1)、旧優生保護法(※2)、ろう者がいる家族の遺産協議のお話について書かれています。また「わたしのいないテーブルで」というタイトルですが、「ディナーテーブル症候群(※3)」がその由来となっています。本書は、「ディナーテーブル症候群」についても踏み込んだお話となっています。

(※1)口話法…聾教育における言語指導法の一つ。手話法に対する。音声言語を視覚によって受け,音声言語を表出する方法。(コトバンク「口話法」 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「口話法」の解説より 原文ママ)

(※2)旧優生保護法…優生学上の見地から不良な子孫の出生を防止し、母体の健康を保護することを目的として、優生手術・人工妊娠中絶・受胎調節の実地指導などについて規定していた法律。昭和23年(1948)施行、平成8年(1996)に優生思想に基づく部分を削除した「母体保護法」に改正・改題。(優生保護法(ゆうせいほごほう)とは? 意味や使い方 – コトバンク デジタル大辞泉より 原文ママ)

(※3)「ディナーテーブル症候群」…聴者の家族の中にろう者が一人だけいるとき、会話の内容が分からなかったり、会話に参加したいのに参加できず疎外感を感じたりする様子。(ろうなび-ろう者が選んだろう・難聴に関する学術情報ポータルサイト – 日本手話より https://sites.google.com/view/rounabi/dinnertable/dinnertablejsl

 

 シリーズ4作目ともなると、登場人物の荒井達と友人になり、高校受験を控えている美和や、瞳美の成長を見守っている気分になってきます。コロナが流行り出した頃の状況下で、荒井達がどのように過ごしていたのかを、皆様も2020年当時を振り返りながら、読んでみてください。

 

【参考資料】 

・わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス – 丸山正樹|東京創元社

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028480

・ドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」制作決定のお知らせ – NHK

https://www.nhk.jp/g/blog/5ycdbksnx/

・「ウ・ヨンウ」脚本家が長編映画監督デビュー、原作は「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」映画ナタリー

https://natalie.mu/eiga/news/524717