にこ~るブログ
2020.05.14
『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』

 休日はご自宅で過ごすことが増えている中、読書をされる方もいらっしゃるかと思います。次はどんな本を読もう……?とお悩みの方へ。ろう者と手話通訳士を描いた小説はいかがでしょうか?

 

 今回のにこ~るブログは、手話、ろう者、コーダ(※1)etc…社会的マイノリティーを取り巻く現状を描いた社会派ミステリー。丸山正樹さん作『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』をご紹介いたします。
(※1)コーダ(CODA):Children of Deaf Adultsの略。ろう者を親に持つ聴者のこと。詳しく知りたい方はWPコーダ育児支援事業のページをご覧ください。

 

【『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』あらすじ】
 主人公の荒井は、警察官を退職することになる。転職にあたり、唯一持っている技能――手話を生かして、彼は手話通訳士になった。
 手話通訳士として活躍する荒井は、殺人事件の容疑者となった、あるろう者の法定通訳を行なうことになった。その殺人事件の被害者は、17年前に起きた殺人事件の被害者の息子で……。

(画像『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』(以下表記『デフ・ヴォイス』)左が文庫本、右が単行本)

 『デフ・ヴォイス』は、読書メーター(※2)で話題になったり、今年1月に開催された「第6回全国高等学校ビブリオバトル決勝大会」(活字文化推進会議主催、読売新聞社主管)で紹介されたりした(※3)作品です。
(※2)読書記録を管理できるアプリ。読みたい本のチェックや読了本の感想を記載・閲覧することができる。
(※3)『デフ・ヴォイス』を紹介した埼玉県立春日部女子高1年の印南舞さんが、同大会で優勝しました。(聴衆の心を揺り動かした、女子高校生のことば 高校生ビブリオバトル決勝大会で『デフ・ヴォイス』を紹介した女子高生が優勝 https://books.bunshun.jp/articles/-/5286(デフ・ヴォイス – 文藝春秋BOOKS – 文春オンライン)

 

 『デフ・ヴォイス』の魅力は沢山ありますが、このブログではその内の3点ご紹介いたします。

 1つ目の魅力は、障害者(この物語では、ろう者)の事を「可哀想な人」「彼らは障害を乗り越えて頑張っている。(だから私たち健常者も頑張らねば)」というような描き方を、この作品ではしていないところにあります。ろう者の置かれている現状、制度上の問題、手話について淡々と描いていて、ろう者の世界を知らない人にとっては、彼らの世界を垣間見る入り口となっています。
 2つ目の魅力は、ミステリー小説としても、とても面白いところです。ミステリーをあまり読まない方でも楽しめますし、沢山のミステリー小説に触れてきた方には新鮮な気持ちで内容を味わうことができます。
 3つ目の魅力は、主人公の手話通訳士である荒井の苦悩が、物語に彩りを与えているところです。「苦悩」というとマイナスのイメージの言葉ですが、この苦悩が描かれているからこそ、物語の中で淡々と描かれている出来事に対しても、物語その物にもグイグイ引き込まれていきます。荒井の過去との苦悩、そして現在の立場の苦悩。その苦悩と葛藤する過程は、是非小説で触れてみてください。

 

『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士~』商品紹介ページ
https://www.wp-shop.net/shopdetail/000000000102/ct5/page1/recommend/

 

『デフ・ヴォイス』の続編である『龍の耳を君に』の文庫版が、近々発売されるそうです!
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488422219(東京創元社 文庫版『龍の耳を君に』ページ)
発売前に是非、『デフ・ヴォイス』を読んでください。